回転式セルフケアと豆の物語

ある人から焙煎したてのコーヒー豆と一緒に

回転式の小さなミルと

一つ穴抽出式ドリップの道具、

そしてピカピカのプレスコーヒーメーカーをもらった。

 

それは例えるなら

その人を主役にした舞台、あるいは画面にとって

大切な道具であり

その人が時間を紡ぐ中でこだわって選んだ品物なのだ。

 

彼女自身は何も語らなかったが

その物語りの一端を見てきたわたしには

そう思える。

 

それは素敵な贈り物だった。

 

 

豆挽きはネジの緩め方で

粉を粗く・細かくもできるし

手回しハンドルを回すと

ゴリゴリとした「手ごたえ」もある。

 

一人分の豆を挽くのにちょうどいい。

 

日記を書くように

(今年からアナログ日記を書き始めた)

自分のココロを計るのにちょうどいい作業になった。

 

湯をわかし

豆を挽き

一つ穴でドリップする。

 

 

忙しない日、焦燥感でバタバタしている日

不安でいっぱいいっぱいの日には

こういう時間さえ持てない。

 

なので今では

これが出来る日はいい日ということになった。

あるいは

いい日であるように

と願う

お祈りの所作みたいでもある。

 

 

呪文と呪縛/ネコのサシェくまのサシェ

女たちと一緒にちくちくやっている。

「わたし縫い物できないんです」

「わたし縫い物苦手なんです」

 

幾度となく聞くこの言葉に

かつての己を見るようで

「もしかしたらそう思わされてきたんじゃない?」と言っている。

 

それは言葉による呪縛のようなモノだ。

「おなおし!」と

よく戻された宿題

重ねて貼られていく「ダメダメ」シールに

あぁそうか

わたしダメなんだ。と

妙に納得し

針と糸を持つことにただならぬプレッシャーなど感じ

そして縫わなくなっていく。

 

線の上を糸と針で細かくなぞっていく

一つ袋ができあがる

ハーブをつめて開いた口を閉じていく

一つサシェができあがる。

目がキラリと光って

顔の筋肉がちょっとゆるむ。

 

見えない「できました」ステッカーを貼っていく。

朝起きれたシール 1枚

人と一緒に過ごせたシール 1枚

集中できましたシール 1枚

そしてその人の作品が1つ

 

ネコのサシェくまのサシェ

出来た!とその人が声に出して言うとき

一つ呪縛が解けていく

言葉のおまじない