校舎の窓から海は浮かぶ

「あんたはぼんやりしてる」

小学生の頃から親によく言われた。

 

夢中で何かに集中しているときは

話しかけられても気づかないでいたし

授業中に特別誰かとおしゃべりしていたわけではないが

かと言って先生の話も聞いていなかった。

(授業内容に興味がない場合に限るけれど)

 

なので教師との二者面談が終わって帰宅すると

母は

「授業中、あんたは何を考えているのか分からないって」といい

父は

「聞いてなくてもいいから兎に角、先生の顔を見ていなさい」とかなんとか言ったものだ。

 

傍からみると「ぼんやり」と見えた私だったが

小学校の教室からは

家々の瓦屋根がぴかぴか光るのがよく見えた。

「きれい」と眺めているうち

校者の窓の外には空想の海が広がり

波が打ち寄せ

海面がきらきらと光るのが見えた。

 

でもそのことを話しはしなかった。

だから「ぼーっとして」とよく言われた。

 

古い木の机は二人分の創りになっていて

境界線が彫られたり穴が空いていることもあった。

「この線から出た!」「出るなー」とかやりあったものだった。

匂いつきの鉛筆や

馬鹿でかい漫画のキャラクター模様の筆箱がその上には置かれていた。

 

 

 

子どもたちは今でも

校舎の中に

空想の海など

広げていたりするだろうか。

 

 

*ノートの落書き