祖母とアルバム

100歳に近い祖母の内臓は、50代の男性並みに健康らしい。

 

「B-29」

これが元気だった頃の祖母のあだ名だった。

突然にやってきては座る暇もなく掃除をし始め

「ほらこんなに汚して!」台所を磨いていく。

ダダダダダダっと一斉清掃を済ませると、今度は「じゃ」と自転車で帰っていった。

 

その祖母も数年前から認知症が進み、わたしの名前も出なくなった。

今では1日のほとんどを寝て過ごしている。

それでも私の顔を見ると「あら。あんた久しぶりに来たのー」とまぶしそうな顔をした。

 

わたしはいつも、古いアルバムを一緒に見ることにしている。

彼女の記憶の断片を追いながら、ただただ浮かぶままに祖母のおしゃべりを聞く。

 

先日誕生日を迎えた祖母に

「もうすぐ100歳になるねー」と言ったら

「えぇえ?そんなことあるわけないじゃないのー」と声をたてて笑った。

 

 

つかの間

祖母の人生全体の時間からしたらほんのわずかな合間、

孫でいられるのもあとどれくらいだろう。