つらい浮世と人間レコード

「つらい浮世」が届いた。

「ハエハエカカカザッパッパ」に続くパワーのある日本語訳だ。

 

 

 

復刻版のこのシングル盤は、懐かしいソノシートのような色をしている。

中身を聴かないのは針が悪いので溝が減ってしまうのを防ぐためで

そもそも購入した目的は何であったかズレているようにも思う。

 

 

 

祖父が持っていたSP盤が残されている。

浪曲の他に、数枚の子ども向けの盤もあり

「てるてる坊主」の声が入っているものもある。

それがもったりした喋りで声は低く、薄気味悪い。

もっと大切に保管されていればよかったが

割れてしまっている盤も多い。

 

 

人間レコードという小説があるが

「ナアニ。レコードを一枚壊すくらいにしか思ってやしないだろう。ハハハ」

小説はこの一文で終わっている。

怖い。

機密文書の代りに人間に録音を収めるという小説で

10枚分はいけるというのだ。

現世でも同じことはある。

「録音」ではないにしろ。

 

あるとき「壊れたレコード」という手法を教わったことがあったが

そのまま本当に回復しなかったらと考えると夜も眠れない。

今日は金曜日なので夜更かししても大丈夫だ。

 

「つらい浮世」を目の前にしてまだ針を落とせないでいる。