てびねり仏

こもれび荘で「手びねり仏」をつくった。

 

「仏像」はどうやって作られてきたのか

アーティストであり

また文化・歴史を専門に研究されている君島彩子さんに教えていただいた。

そして、実際に僧侶の吉水さんに

一体一体魂をこめてもらった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

何かを願う人がいて

作る人がいて

魂をこめる開眼を行う僧侶がいて

そうしてその仏様に祈りをささげる人がいる。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

わたしたちは一人一枚の半紙と筆を持ち

それぞれが思い浮かべる願いを書いた。

 

目の前にいる人が

長く悩んだあとで

「無」と書いた。

 

楊子を芯にして巻物にすると

それを粘土でまぁるく包みこむ。

小さな仏像はまだ目を覚まさないでいる。

 

並べられた粘土の仏さまに向かい

「ひとさじの会」の吉水さんが魂をこめる。

 

念仏を唱えると

一体一体は小さな仏様になった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

普段から山谷で夜回りもし、

また東日本大震災のときも

避難所で炊き出しをしている吉水さんに出会ったとスタッフから聞いた。

 

身寄りのない人の仏壇が廃棄されるときにも

魂をぬいて「モノ」に帰するため

一枚一枚に向かって丁寧に向き合うと

「あうん」のスタッフに聞いたこともあった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

この手びねりの仏様のことも

大船渡出会った目の不自由な高齢の女性が

亡くなったおじぃさんの代わりに

「触れることができる仏様を自分でつくりたい」と

話したのがきっかけだったそうだ。

 

1年後、この約束を果たせたと話された。

 

「触れることができる」というのは大切なことだと聞いた。

 

義理の父が死んだあと

母が今でも夕方に「お父さんがいない」と寂しそうにする。

 

粘土を買って

今度一緒に作ってみたいと思う。

開眼のお願いは

やっぱり山谷に行こうと思う。

 

 

 

 

 

*ひとさじの会

 http://hitosaji.jp/