そーだんの壁

言葉少ない人には

誠実さがあっていい。

 

石は黙ってものを言う

直かに心にものを言う

*堀口大学

 

この詩に一種の憧れを抱いていたことがあった。

 

わたしはおしゃべりだ。

 

普段からおしゃべりが多いのであれば

ぺらぺらと困りごとなども他人に伝え

ドシドシ相談・課題解決し

問題など抱えない…はずではあるが

そうはいかない。

 

突如としてへビィな問題を目の前に据え置かれることがある。

他者によって振り回される場面も少なく

一見すると安定しているように見える人にも

その実、誰に語ることもできなかった

不安の種を宿していることがある。

 

身の上相談、電話相談、人生相談、相談窓口。

 

相談の壁について考えてみる。

 

自分自身について考察し

ある程度整理し

「これをこうしたいのよー」と

目的地のようなものが見えていればいいが

何が何だかわからない状態では

自分自身を伝えるというのもなかなか難しい。

 

「ちょっと今日はだるい」

「ちょっとここが痛い」

小さな変化や痛みに気づき

言葉にすることを重ねていく中で

たどり着けるかも知れない。相談。

 

やっとの想いからか

一人では抱えきれなくなっての吐露か

一言を伝えるまでに

その人がじっと

どれだけ迷ったり悩んだりしたのか考える。

 

 

浮世の波をかきわけて

それぞれに

ゆこゆこ。